汚れなきもの

あの頃と変わらない景色の中で
僕はひとり　後ろを振り返り
少し軽くなったような心で
行き交う人の波を見つめていた

この手にしたもの全てが
自分の強さになる気がした
この目に映るもの全てが
真実だと受け止めていた

綺麗すぎるものは　もういらない
失うと分かっていて
手に入れたいものなんてない
今でもこの胸に浮かぶものは
いつかの　あの優しげな笑顔

あの頃の僕は恵まれすぎて
逆にそれが憎たらしく思うことがあった
自由を奪われていたのではなく
自由すぎたんだね　眩しいくらいに

この空に広がるもの全てが
僕を包んでいるような気がした
この耳に響くもの全てが
偽りだと思い込んでいた

美しすぎるものはいつだって
目の前に立ちすくむ
手を伸ばしたって　手に入れたって
自分自身が見せている幻想でしかない
でも　汚れなきもの

綺麗すぎるものはいつだって
この手の中で輝いてた
失うことなど恐れずに信じていた
全てを抱いていた　遠い昔の記憶は
いまでも　この胸に刻まれている

愛の形

君が居なくなって初めて気がつく
この心が痛むのは
君の心を傷つけたから

きっと罪を背負い続けて
私はこの先生きていくんだろう
いつかの終焉まで

忘れる事など許されない
忘れたくない

愛の形は人それぞれだけど
私の愛はとてもいびつで
人を簡単に傷つけてしまう
それでも　これが私の愛の形
どうか　どうか受け止めてほしい

報われなくてもいいから

君が居なくなって改めて気がつく
いつかと同じ後悔は
同じ過ちを繰り返したから

きっと誰かを愛するたびに
同じ気持ちになるんだろう
いつかの記憶が蘇る

愛するよりも愛される方が
きっと苦しくて切ない
それを分かっていたはずなのに
それでも　これが私の愛しかた
どうか　どうか分かってほしい

答えなんていらないから

誰になんと言われようと
愛の形を変える事なんて出来ない
偽りになってしまうから

君の愛の形を少しだけ
知る事が出来た気がする
私は受け止めてあげることが出来たのかな

愛の形は人それぞれだけど
これが私の愛の形なんだ
お互いの愛の形を
全て受け止めることが出来るのは
一生で一回でいい

星降る里

全てさらけ出してしまいたい
この心に潜む　僕の弱さを
誰に解ってくれなくても構わない
弱さを弱さと僕が認めることに
意味はあるのだから

だけど　
こんな星の見えない夜じゃ
想うこと全てが弱さになりそうで
冷たく震える手を合わせて
雲の隙間にかすむ星に祈りを捧げる
それしか出来なかった

僕は今　なにを願う？
僕は今　なにを嘆く？

いつか夢に見た
幾千もの星が降る里は
この世に存在する場所なのかな
そんな淡い期待を抱いたまま
生きていく事は愚か過ぎるのかな

きっと
声にもならないこの叫びを
誰かに解って欲しいんだろう
だけど本当に解ってもらいたい人には
いつもうまく伝えられないんだ
こんな僕だから

僕は今　なにを見る？
僕は今　なにを聞く？

だけど
こんな星の見えない夜じゃ
願いをかけることさえ出来なくて
涙で滲んでいく空を見つめながら
いつか夢見た星降る里を想いながら
この今を生きている

この目に映るもの、すべて。

ねぇ　今僕が思っていることは
一体どのくらいの人と共有しているのだろう

君は何を思って何を考えて
この景色を見ていたのだろう

言葉にあらわしたって
言う事と伝えたい事はいつも一致しない
それならどうすれば
互いの思いを伝え合うことができるのかな

この目に映る全てのものを
分け隔てなく愛する事が出来ればいいのに
それが出来ないから愛とか憎しみが生まれる
その違いが一瞬にして変わったりして
いつも自分勝手な思いに振り回されているんだ
　
ねぇ　今僕が感じている悲しみを
一体どのくらいの人が分かってくれるのだろう

君は何を夢見て何を挫折して
この道を歩いていくのだろう

表情にあらわしたって
それがいつも感情と同じとは限らない
それならどうすれば
本当の思いを君に伝えられるのかな

この肌に感じる全てのものを
真実と受け止める事が出来ればいいのに
それが出来ないから嘘や恐怖が生まれる
きっと君には分かっているんだろう
この先僕達がするべきことを迎える未来を

同じ日々を過ごす事に意味はなくとも
同じ日々を生きることに意味はある
僕が思ったこと感じたこと
全てがこの体に刻まれている

それが一瞬にして痛みになったり
励みになっていくことを
僕は忘れてはいけないんだろう