宵月

昔　貴方は私にこう問いました

「貴女はこれ以上何を望むのですか？」

何も望んではいませぬ
何も不満ではありませぬ

ただ　貴方の心さえくだされば
他には何もいりませぬ
その魂も骨も掌も
そこにいてくだされば
それだけで十分なのです

貴方はいつも
目に見えるものを欲しがりますが

私はいつも
目に見えぬものを求めるのです

いつか灰になるこの体ならば
今この瞬間さえも
貴方の体温を感じていたいのです

いつか彷徨い行くこの魂ならば
遙か彼方の優しい光を
この心で感じていたいのです

それでも　もし望み過ぎたならば
欲しがり過ぎたならば
私は貴方の前から消えましょう

星になり　貴方を見守り続けましょう
太陽になり　貴方を照らし続けましょう

いつか巡り会ったとしても
きっと　貴方は気づかないでしょう
だけど　いつもどんな時でも
私は貴方の側におります